ダンボーの北海道巡り旅、2019年の4月下旬に立ち寄っていたのは道南の松前町。桜前線が北海道に上陸を始める松前町。そのなかでも桜の名所として名高い松前公園のシンボル的な松前城へと。
桜の一大名所、松前公園。ここは早咲きの桜から遅咲きの桜まで、比較的長い期間にわたって桜が咲き乱れる桜の一大名所。
その中心に位置するように佇む松前城。
江戸幕府も後期。津軽海峡に出没する外国船の脅威に備え、幕府から命じられてそれまでの居城・福山館を改築して1854年に完成した松前城。最後期の日本式城郭の城であり、そしてまた、北海道唯一の日本式城郭ともなった。
公式には福山城と名付けられていたけれど、他の城との混同を避けるためか、建築当時から「松前城」と呼ばれていたお城。
幕末から明治の世へと変わり始めた頃。日本が二つに分かれて戦った戊辰戦争の戦線は、旧幕府軍の後退と共に徐々に北上。戦いの地は蝦夷の大地へと移り変わっていった。
森町に上陸した旧幕府軍は函館の五稜郭を占拠。勢いに乗った土方歳三率いる旧幕府軍は、新政府軍が守る松前城へと進軍していった。
土方率いる軍を迎え撃つ松前城の新政府軍は多数に無勢。そして、海上防備に備えて大砲は多数備え付けられていたものの、陸路からの攻撃には不向きであった。
城門を開いては大砲を撃ち、そしてまた門を閉じるという戦い方で防戦をしていた松前城。しかしながらあるとき、門が開いた瞬間に旧幕府軍が一気に突撃。城内において激しい戦いが繰り広げられた後についには陥落。松前城は旧幕府軍に占拠されるにいたり、松前の地も制圧される事態となった。
乙部の地に上陸した新政府軍は、江差の海岸線を通って旧幕府軍が占拠した松前城に向かって一気に進軍を開始。
松前の西側の地で激しい戦闘が繰り広げられる中、新政府軍の松前藩の軍勢が松前城を奪還。旧幕府軍は五稜郭へと撤退していったのだった。
激しい戦いの中でも姿をとどめた松前城。しかしながら箱館戦争終結後、松前城解体の計画も浮上。施設の多くは解体されたものの、天守閣などの一部の施設は、そのまま残されることになった。
太平洋戦争も終わりを迎えた頃には、老朽化によって外壁も剥がれ落ち、ところによっては骨組みだけになっていた場所もあったという。
みすぼらしい姿の修理を行なうことになった昭和24年、松前城の一角において火災が発生。戊辰戦争・太平洋戦争を乗り切った天守閣は、そのときの火により焼け落ちてしまった。
現在残る天守閣は、鉄筋コンクリートによって再建されたもの。その内部は資料館ともなっていて、ここから先は有料ゾーン。
天守閣内部の資料館は松前の歴史を伝える場所。
そして階段を上って上層階へと行けば、そこは展望台。
松前の街並みと桜と海を見下ろす、美しき展望台。
こうして津軽海峡を見張っていたんだろうね。
松前城の海側の庭は、たしか有料ゾーンの一角。
お城の概観は山側からでも見れるし、そこは無料で散策できる区画だったと思うけれど、海側の庭は有料ゾーンだった気がする（記憶不確かです）。
桜が咲く季節、この地この場所でかつて激しい戦いが行なわれたとは思えないようなのどかで美しい場所。
桜の美しさを味わうと共に、かつての歴史の流れへと思いをはせるのもまた一興かと。
【場所】
【松前町 松前城天守閣】
【訪問日：2019.04.28】
