室蘭市の室蘭八景のトッカリショ。その断崖絶壁の一角をなす岩の連なりの中に、ぽつんと佇み、水平線の彼方向こうを見据える縁起物にもかぞえられる生き物の姿。
室蘭の観光道路は、片方が断崖絶壁の海、そしてもう片方が急な坂道に沿って住宅街が室蘭港方面へとのびていく、そんな境目の稜線をはしるような路。
その観光道路沿いにある室蘭八景のトッカリショ付近に現れてくるのが今回の亀岩。
さて、このなかに水平線の彼方を見つめる亀がいます。残念ながら生きているわけではありませんが、未来永劫の海と漁の守り神として岩に姿を変えて海の平穏を見守っているということにしておきましょうか。
こっちのほうではありません。
こちらのほうのどこかに。
見る角度とかもちょっと微妙ではあるけれど。
甲羅からひょこりと首を出しているような亀の姿。歪曲する路を歩きながら見ていると、首を出したり引っ込めたりとしているようにも見えてくる観光道路の亀岩。
いわれてみればたしかに亀っぽい。
目にあたる所に、丸い模様があるところもまた、亀っぽく見せているその姿。昔は亀岩なんて耳にした記憶がないけれど、いつの頃からか亀岩と呼ばれだしている場所。
100メートルに近い断崖絶壁の岩肌を織り成しているトッカリショの一部を形成するこの場所もまた、切り立った崖の下に海が広がる。
向こうのほうにはイタンキ浜やクジラ半島群を眺望することもできる場所で、亀岩の目もまた、イタンキ浜のほうを静かにやさしく眺めている。
覗き込むとそこはたぶん、垂直に切り立ったがけっぷち。眼下には青く広がる太平洋の海。
こうしてみると、亀の頭もヒビというか割れ目がきっちりと付いていて、いつの日にかにはぽっこりと落ちてしまいそうな雰囲気も。
亀の頭の下のほうに何か赤いのが見えていたので何かと思っていたら、
バイク(スクーター?)。落ちてしまったのか落としたのかが分からないけれど、崖の中腹で海へと落ちずにとどまっているバイク。
昔からあるのか最近なのかはまったく分からないけれど、でもなんとなく1台ではないような気も。
亀の頭の方まで行くこともできるけれど、柵も何もないので高いところが苦手なひと(私)には難しいかも。こころなしか近づくと揺れを感じるし(←たぶん気のせいではある)。
あのあたりが頭の付けねの辺りと思われるけれど。ちょっとした勇気が必要な感じ。
亀岩は看板も何もないので、知らなければ素通りしてしまう場所。駐車スペース(小さな空き地)は1~2台分くらいはあるので、そちらに停めるような感じかと。
室蘭イタンキ沖のクジラ岩や、せたな町の親子熊岩のような謂れは聞いたことがないけれど、あまり知られずひっそりと海を見守る室蘭亀岩。
これを書いているのは令和元年初日の5月1日。鶴は千年、亀は万年。縁起物ということで、長寿の象徴・亀の岩。
【場所】
【室蘭市 亀岩】
【訪問日:2019.04.12/2019.04.27】