一時は北海道の産業の重要な一部を担っていた炭鉱産業。黒いダイヤとも呼ばれていた石炭を採掘し、その石炭に支えられていた町は夕張だけではなく赤平市もそのひとつ。かつては炭鉱に従事する人々、そしてそれを支える人々で賑わい、6万人前後の人口があった赤平市。現在は海外からの安価な石炭の輸入が中心となってしまい、炭鉱が閉山してしまったいまは、人口1万人前後にまで減少してしまっている。
石炭王国としても有名だった北海道の炭鉱産業。その勇姿を垣間見ることができるのが赤平市の旧住友赤平炭鉱立坑跡。
昭和38年に完成した立坑やぐらは、地上に見える姿は43.8メートル。空に向かって錆び色の鉄枠が伸び上がり、車輪のような大歯車がその枠の中に納まっていて。その設備は電気を通せばいまも稼動可能ということらしく、赤平市の歴史を伝える特徴のあるシンボル的な建物。
石炭を掘る立坑はその地下へと広がり、その深さは驚くことに650メートル。スカイツリーの高さが634メートルらしいので、長さならばスカイツリーがすっかりと入ってしまうような深さ距離。札幌のテレビ塔は147.2mなので、テレビ塔が4本入ってしまうような奥深さ。
自分で書いていても何かを間違えているような気がするけれど、公表されている数字を見るとそういうことになっていそう。
そんな深さまで炭鉱で働く鉱員を送り出し、そして地下からは掘り出された石炭をも引き上げていた巨大な設備。その技術力は東洋一とも言われ、いちどに72人の鉱員を地価へと送り出すことができたという。
そんな歴史を伝える遺構の横に作られたのが、炭鉱遺産ガイダンス施設。
ガイダンス施設の見学は無料で、中には炭鉱で使われていた機材や炭鉱の歴史を伝える物品がいくつも並んでいる。
閉山したのは平成6年。ついこのあいだのような気がするけれど、もうずいぶんと前。閉山のときは相当もめただろうな。
以前別のところで聞いた話だと、日本の石炭は深く深く掘って採掘するけれど、オーストラリアの石炭はショベルカーで掘り出せるくらいの場所にあるという(調べてないのでほんとうかどうかは不明)。
命がけで採掘に行くことを考えると、買ったほうがいいじゃんとなるのも、仕方がないような気もするけれど、そうは言っても何ともせつない。
そういう赤平の、いや北海道の歴史を伝える建造物の一つ。ただの廃墟といえば廃墟だけれども、重要な歴史を背負った工業遺産。
こうやって外観を見ていると中に入ってみたくなってうずうずしてきませんか?(こういうのに興味がわかない人が多いとは思いますが。。。)
この建物、中に入ることができるんです。しかも非合法ではなく合法的に。
有料で実際に働いていた人のガイドつきの見学コースが用意されています。原則1日に2回のみ(定休日のぞく)なので、こういう建物に惹かれる人は、いちどは寄ってみてもよいのでは。ちなみに建物内部は閉山当時のままに残されているようです。
この日、見学に行きたかったけれど、時間が合わずに断念せざるをえず、残念。
さすがに地下まではいけないようですが、当時の片鱗を垣間見るだけでも、好きな人にはたまらない体験になりそうです。
【場所】
【サイト】 www.city.akabira.hokkaido.jp
【赤平市 旧住友赤平炭鉱立坑跡の外観】
【訪問日:2019.04.13】