函館市は海の街、坂の街、夜景の街。そして歴史を紐解けば火事の街。明治以降も1000戸以上の家屋が燃えた大火災が何度も起きている街。
有名なのは昭和9年3月21日に起きた函館大火。春一番の強風が吹き荒れる嵐の中、10,000戸を越える家屋が焼失したといわれている。
函館大火の影響はすさまじく、それまでは函館が北海道の最大都市であったのに、大火後は札幌市が北海道の中心へと変わっていったという説もある。
そんな函館市のなかに、ぽつんと佇む一本の電柱。
二十軒坂のを下った通りからちょっと海側に入ったところに立っている角ばった電柱。
それが、日本最古のコンクリート製の電柱。
大正12年に建てられたこの電柱は、度重なる火災の後、燃えることがないようにと現在の北電によってつくられたもの。
「現存する最古のコンクリート電柱」とのことなので、日本最初ということではないようだけれども。火事を繰り返した函館市の中でつくられた耐火建築物。
その頃から立ち続けて、函館の街並みを見守り、人々の生活を支え続けている。そしてこれからも立ち続けていくんだろう。
近づいてみれば円柱ではなく角柱に近い形の電柱で、他ではあまり目にした事がないような珍しい佇まい。
歴史的建造物は函館にはいっぱいあるけれど、これもまたひとつの歴史的な建造物。ただのコンクリートの棒といえばそれまでだろうけれど。
知らなければ絶対に気がつくことがないような、歴史的建造物(たかだか大正時代だけど)。地味すぎるほどに地味だけど、知れば味わいを感じる角ばった電柱。
そしていまもこういう電柱が、函館の夜景や、
二十軒坂のイルミネーションを支えているんだ。きっと。
【場所】
【函館市 日本最古のコンクリート電柱】
【訪問日:2019.03.09】