ダンボーの北海道さまよい歩きの旅。2021年の3月下旬に立ち寄ってみたのはむかわ町の汐見駅。2021年3月31日をもって鵡川駅以降が廃線・廃駅となることが決まっていた日高本線。廃駅になる前に少しでも回ってみようと思って向かった汐見駅。
ほんのちょこっと並ぶ住宅街から少し離れた場所にたたずむ汐見駅。何にもない原っぱの中に静かに建つ小さな駅。
小さな汐見駅は開業時からの無人駅。駅舎というか待合室は、遠くから見ると公衆トイレかなにかのようにも見えるような、簡素な佇まい。
1959年12月18日に、鵡川駅を挟んで反対側にある浜田浦駅と同日に開業となった汐見駅。そもそもの始まりは浜田浦駅と同様に、周囲の住民からの陳情によって駅が設置されることになったという。
潮見駅が開業となる前。
鵡川駅やむかわ町の中心部へと道路を歩いて行くためには、ぐるりと遠回りをする道しかないため、多くの人々が近道となる線路を歩いて向っていたという。
川をまたぐ鉄橋ですら、歩いて渡っていったという。
開業時はホームがあるだけで待合室は無かったものの、周辺住民からの数万円の寄付金を募り、待合室を設置。駅らしい風情を保つようになった。
汽車こないね
待合室で待ってよう
誰か住んでる?
待合室の中は、ちょっとした休憩所。ベンチやソファーもあり、感覚的にはちょっとした秘密基地風。
無人駅にもかかわらず、なんとも立派。思わず「誰か住んでる」と思ってしまうほど。
こないなあ
座って待ってよぅ
このソファーは周囲の住民の人が自宅で使用していたものを、待合室が便利になるようにと寄付したらしい。購入価格は20万円ほどだったとか。時代は違うんだろうけれど、待合室より高い。
その他の備品も、付近の人たちが持ち込んだものらしい。
この日はまだ廃線となるよりも前の日。しかしながら、列車はしばらくの間やってきていない。
2015年に大きな高波被害を受け、日高本線は鵡川駅までの運行となり、汐見駅から様似駅へといたる区間は運休。復旧することなく、廃線の日を迎えようとしていた。
ちなみに写真のずうっと奥の彼方にあるのが鵡川駅。
汽車、もう来ないんだって
その後、代行バスの待合室として利用されていたようだけれども、2019年には駅前にあったバス停留所がもっと住宅地側へと移転。
待合室は待合室としての機能も無くし、ホーム横の小さな秘密基地のような雰囲気を漂わせていた汐見駅。
となりの駅に行こう
今はどうなっているのかな。待合室、まだ入ることができるのかな。けっこう気になるところ。
【場所】
【むかわ町 旧・汐見駅】
【訪問日:2021.03.28】