ダンボーとさすらう北海道、2019年の7月上旬に訪ねてみたのは上士幌町。糠平温泉郷方面へと延びる道の途中、かつてあった国鉄線路の名残を眺めるドライブ旅。
上士幌町の市街地から糠平温泉方面へと向う273号線。音更川と並ぶように走る国道の脇には、かつて国鉄の路線があった。
いわゆる士幌線。林業で切り出された材木の運搬を目指し、1930年代に敷設されたという路線。273号線が整備され三国峠を通って上川町方面へと抜けられるようになった頃から廃れ始めて、廃線となってしまったかつての線路。
上士幌駅から十勝三股を結ぶ路線は勾配が激しく、そして音更川の渓谷をこえていく為、数多くのコンクリートアーチ橋が生み出されていった。有名なタウシュベツ橋梁もそのひとつ。
建築コストの削減や大雪山近隣の自然景観を守るため、鉄橋ではなくコンクリートでつくられたらしい。
いくつか残るコンクリートアーチ群の中で、車からも見やすい場所にある橋のひとつが1936年に竣工した第三音更川橋梁。
かつて線路のあった場所は緑に埋まりながらも、いまなおかつての姿をそのまま残すアーチ橋。
泉翠峡ともよばれる場所にかかるアーチ橋。そのアーチスパンは32メートルの大きさを誇り、音更川を一跨ぎしてしまうほどの大きさ。現存する鉄道用のコンクリートアーチ橋としては北海道内で最も古く、そしてまたそのアーチスパンは最大のものだという。
この第三音更川橋梁の建築がうまくいったことで、全国でもいくつかの大型アーチ橋が建築されるようになったようで、歴史の始まりのひとつが生まれた場所なんだと思う。そう考えるとまた、橋の外観の風情も歴史の遺構というだけはなく、堂々たる物に見えてくる不思議。
2020年4月ごろから補修工事が始まり、終わるのは11月頃の予定。いま見に行くと、橋の姿はよく見えなくても、逆にレアな光景が見られるかもって思ったり。あの橋の上を列車ではなく重機が渡る光景が見られたりするかもって。
そしてたぶん、工事が終わった頃には訪問日よりはちょっと違った姿が見れそうな気もする。
ちなみに駐車帯のようにみえる駐車場が、音更橋梁が見られる橋の上からもう少し糠平方面へと進んだところにあるので、車を停めるときはそちらへ。片道のみ2車線に見えちゃうけれど、駐車場。
そして帰りがけ、危なく踏みそうになった虫の息だった虫。
ちょうちょ?
蝶だと思ってみてたけど、もしかして蛾かな…。
いや、蝶だということにしておこう。気持ちの問題。
見守ることしかできないけれど、ゆっくり休んでね。
【場所】
【上士幌町 旧士幌線・第三音更川橋梁】
【訪問日:2019.07.06】