ダンボーの北海道さ迷い歩きの旅、2021年の3月下旬に立ち寄ってみたのは日高町の厚賀駅。2021年の3月末日をもって、路線の大部分が廃線となった日高本線。その路線の一翼を担っていた厚賀駅へと。
古いといえば古い、レトロ感のあるといえばおしゃれな感じのある厚賀駅の駅舎。その前の清畠駅と豊郷駅が質素だっただけに、よりいっそうにオシャレな感じが漂う。
時をさかのぼること大正13年。日高本線の前身ともなる日高拓殖鉄道の延伸に伴い、その終着駅として開業した厚賀駅。
2年後の大正15年には鉄道路線がさらに静内駅まで延びたことで、終着駅としての役割はすぐに終え、路線の中間を担う駅として長きに渡って活躍を続けてきた駅。
もともと日高拓殖鉄道は、日高の山中で採れた材木を運び込み、王子製紙で使われるパルプの原材料として確保することも目指して延伸された鉄道路線。
運搬の基盤が鉄道へと変わり行くなか、日高本線も当初持っていた役割も薄くなっていった。
昭和52年には貨物の取り扱いも終わり、いつのころからか無人駅となった厚賀駅。
現在残る駅舎は平成元年に改築されたもので、やっぱり当時の風潮を考えるとレトロ感のあるおしゃれな雰囲気を目指して改築されたのかもしれない。
平成27年、この厚賀駅から次の大狩部駅へとつながる区間が大きな高波による被害によって日高本線の大部分が運休。
復旧を目指したものの、被害の大きさと復旧にかかるコスト、そしておそらくはその後の維持費のことも考え合わせての復旧断念。
2021年3月末日をもって、その駅としての役割を終えることになった。
列車が来ることを待っていたホームには、もう何もくることはない。帰ってくる人を待っていたホームには、もう帰ってくる人はいない。
この厚賀駅にいると「高波被害」と言われてもキョトンとしてしまうような周囲の雰囲気なのだけれども、この先、海によって走っていく路線はなかなかに過酷な道。大狩部駅まで行けば、そのすごさがわかるところ。
思い出があるわけじゃないけれど。さようなら、厚賀駅。
【場所】
【日高町 厚賀駅】
【訪問日:2021.03.28】