ダンボーとさまよい歩く北海道。2018年の9月上旬に立ち寄ってみたのは、まだ天神核が営業していた頃の天人峡。最後の頑張りを見せていた天人閣の駐車場の目の前に広がっている涙岩。
羽衣伝説の残る天人峡の涙岩。天人閣の駐車場、そして、蛾衣の滝へと続く遊歩道の入り口付近に佇む斜面の一枚岩。その表面は湧き出て流れる水の雫によって、常に濡れているともいわれる。
はるか昔、この地に降りたった一人の天女。彼女は盗賊によって羽衣を奪われ翔ぶ術を失い、失意のそこで泣いていたという。
困って泣いていた天女の涙が、いまなお流れているといわれる涙岩。美しき天女の涙の名残が流れる岩。
涙はそして、下を流れる忠別川の青き流れの中へと消えていく。
涙岩は、約3万年前に旭岳のお鉢平が噴火した際に流れてきた火砕流が堆積し、長い年月をかけて川によって削られてできたものだという。
この岩の斜面も局面も、人工物ではなく天然・自然の力でつくりあげられたもの。こんな雰囲気の人工の建造物も見たことがありそうな気がするけれど、こちらは自然の造形品。
自然ってすごい。
下部のほうはいまなお少しずつ、川と風に崩されていっているような気もする。
以前はこの岩の近くまで車で来ることができたけれど、天人閣が休業し、車が通る橋が通行禁止となってしまったため、すこし下のほうの天女の足湯のある駐車場から歩いてこなくちゃいけない。
10分も歩かずに着けるんだけど、結構な急坂なので、足腰弱いときっついです。
1ヶ月ほどあとに立ち寄ってみると、紅葉が広がっていたけれど、いかんせんかなり夕闇。
それにしても、岩というよりは涙のにじむ涙壁。
美しき天女はその後、めでたく空へと帰っているので、流れる涙は名残の雫。空へと帰りはしたものの、悲しみの思い出が残り続ける涙岩。
【場所】
【東川町 天人峡・涙岩】
【訪問日:2018.09.02など】